ブックレビュー:イスラム金融はなぜ強い

イスラム金融はなぜ強い」
http://www.amazon.co.jp/dp/4334034756
 
最近経済の本ばかり読んでますが、
そのつながりで。
 
イスラム金融とは聞き覚えがない人が多いかもしれませんが、
今後日本に入ってくる可能性が高く、
「CO2排出権取引」と同じくらい重要になるそうです。
 
イスラム金融とは一言で言うと、
イスラム教の教えに従った金融」のことです。
イスラム教の教えは日常のことにまで影響するので、
もちろん金融にも多大な影響を及ぼしています。
 
イスラム教では金融に関して、
大きく3つの禁止事項があります。
それは「金利」、「不明瞭性」、「投機性」です。
 
金利と投機性を封じられたら金融活動ができないようにも思えますが、
それは一見での話です。
いかにイスラム法を遵守しつつ金融活動を行うか。
そこに人々の知恵があります。
 
詳しい話は本を読んでいただくとして、
要するにイスラム法では現物を伴わない金融活動を禁止しています。
ということは、現物を伴えばいいのです。
 
こう書くと「ん?」と言う人が大半だと思うので、
具体例を挙げて説明してみます。
 
たとえば自動車を買うとして、
そのために銀行からお金を借りたいとします。
このとき銀行は普通にお金を貸して利子を取ったのでは駄目です。
 
ではどうするのか。
まず銀行が車を買い取り(X円)、
その後に顧客に車を売ります(X円+Y円)。
 
こうすることによって銀行の手元にはY円が残り、
利子を使うことなく車の売買を成立させることができます。
車という実物を介することで問題を解決するわけです。
 
日本人には回りくどいことのように思えるかもしれませんが、
彼らには大事なことなのです。
日本の火葬だって外国から見れば奇異なことなのです。
 
とまあこんな感じで、
イスラム金融について分かりやすく解説している本がこの本です。
 
イスラムの金融なんて関係ないじゃないか。
と思われるかもしれませんが、それは誤解です。
重要なのは、イスラム金融は誰でも(非ムスリムでも)利用できると言うことです。
 
現にイギリスは大々的にイスラム金融の取り扱いを始めましたし、
日本でもじきに始まると言われています。
知っておいて損はないと思いますよ。